本稿では、中小企業診断士の試験合格後、最初の年の過ごし方に関して検討します。
中小企業診断士資格の留意点
中小企業診断士資格はユニークな資格です。他の資格と違って独占業務がなく、また、資格取得後に半ば自動的に専門の会社に転職できるわけでもありません。
案件を獲得したい人がやるべきこと
やるべきことは大きく分けて3つあり、「登録すること」、「案件を獲得できるようになること」、そして「診断士仲間との関係を構築すること」です。
なお、企業内診断士としての活躍を選ぶ方は、案件獲得の方法を学ぶ必要はありません。
実務補習・実務従事を経て登録する
まずは資格の登録をしなければ始まりません。協会の実務補習や各種団体の実務従事などの機会を活用して自分のペースで、しかしできるだけ早く、15ポイントを獲得して資格を登録しましょう。あまりのんびりしていると、新鮮な気持ちを失ってしまい、行動力が落ちてしまいがちですから気をつけてください。
案件を獲得できる基盤を作る
早い段階で案件を獲得できる基盤を構築しておきたいところです。特に1年目は「絶好のチャンス」と言えるでしょう。診断士も1年目は「新入生」として扱われる傾向があり、様々な活動に誘ってもらえます。また、多数の「同期生」が同時にスタートする事情もあり、情報交換がしやすい構造があります。
案件の獲得方法には、以下のようなパターンがあります。独立を志向する方もいれば副業としたい方もいますので、個人の目指す方向性によって、取捨選択したいものです。
- コンサルティング会社に就職する
- 個人として紹介を受ける
- 自ら集客する
コンサルティング会社に就職するには
専門の会社(コンサルティング会社)に転職するのは有力な選択肢です。コンサルティング会社は無数にありますから、自分にあった会社を選ぶようにしましょう。
個人として紹介を受けるには
紹介を受けるためには、紹介元(先輩や同期の診断士、業界団体、中小企業支援機関、創業支援機関等)との関係構築を行いましょう。
自ら集客するには
多くの方の場合は、記事やセミナーが第一歩となるでしょう。まずは執筆ないし講演の機会を得ることが必要となります。取材の学校および講師の学校は、こうした需要に応えるサービスを提供しています。
直接コンサルティング契約を獲得することは難易度は高いものの可能です。例えば、コンサルタント斡旋会社の利用やコンサルティング会社からの下請けは比較的実現性が高いと思われます。最近はスポットでのコンサルティングを斡旋するインターネットサービスも登場しています。より高度な方法としては、オフラインで中小企業の経営陣と関係を構築する選択もあるでしょう。
他の診断士と協業できる関係を構築する
同期診断士との関係構築
同期生は、診断士業界の入門者という意味でも、情報に飢えている点でも、共通項が非常に多い集団で仲良くなりやすい性質があります。この状況をプラスに活かすため、積極的に関係を作り、共同プロジェクトをしてはいかがでしょうか。
最も手近なのは、受験生支援団体での活動です。非営利活動なので収入につながらないことはデメリットですが、以下のメリットがあります。
- 同期生との実験的共同プロジェクトであり、互いの人となりや仕事ぶりがわかり、今後の協業につなげることができる
- 今後の合格者となる優秀な方々の役に立つことができ、かつ良い関係を作れる
- 情報発信や勉強会等の運営の経験を自然な形で積むことができる
先輩診断士との関係構築
同期生ばかりでつるんでいても正しい情報には辿り着くのに時間がかかります。先輩診断士にも積極的にアプローチしましょう。
診断士協会やその他の研究会活動に積極的に参加すれば、先輩診断士との交流も増えるでしょう。