コンサルの年収は、入社時とマネージャー昇進後で大きく変わります。新卒の公表条件では、山田コンサルティンググループの学部卒年俸430万円、KPMGコンサルティングの学士標準年収約625万円、PwCコンサルティングの学士標準年収約639万円などの例があります。ただし、賞与や固定残業代を含む範囲が異なります。
職位別の実績を公表する山田コンサルティンググループでは、2025年3月期の通知年俸を基準とした平均年収が、コンサルタント約700万円、マネージャー約1,130万円です。これは同社の実績であり、すべてのコンサル会社に共通する給与表ではありません。
「コンサルの平均はいくらか」「新卒や30代でどこまで上がるか」を考えるには、業界に近い職業統計、募集時の条件、会社や職位ごとの支給実績を区別する必要があります。金額の大小に加え、何を任されると給与が変わるのかまで整理します。
コンサルの平均年収は、職業統計と会社の実績で対象が違う
厚生労働省のjob tagには、経営コンサルタントに対応する賃金として1,134.6万円、ITコンサルタントに対応する賃金として889万円が掲載されています。いずれも令和7年賃金構造基本統計調査を加工した全国の値です。両ページとも、当該職業だけの統計とは限らないという注意を付けています。
公的統計の1,134.6万円と889万円は誰の数字か
job tagの経営コンサルタントの統計は、「その他の経営・金融・保険の専門的職業」など、対応する職業分類に基づきます。平均年齢は39.4歳です。新卒だけ、外資戦略ファームだけ、日本の大手コンサル会社の社員だけを集めた平均ではありません。
ITコンサルタントのページにある889万円も、対応する職業分類の統計で、平均年齢は38.3歳です。これを「ITコンサル会社に入ると889万円」と解釈したり、経営コンサルタントとの差をそのまま転職による昇給幅にしたりはできません。対象者の経験や勤務先が異なるためです。
| 数値の種類 | 公表例 | 示している対象 |
|---|---|---|
| 職業に対応する統計 | 経営コンサルタント1,134.6万円/ITコンサルタント889万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査を加工。各職業だけの集計とは限らない |
| 新卒の募集条件 | KPMG・学士6,251,147円 | 理論標準業績賞与と月50時間相当の固定残業手当を含む |
| 職位別の実績 | 山田・マネージャー約1,130万円 | 2025年3月期通知年俸。諸手当・特別賞与を含む総支給実績 |
会社の平均年収は、どの法人の社員かで変わる
有価証券報告書の平均年間給与にも、対象となる法人があります。ベイカレントの2026年2月期は13,310,922円ですが、これは提出会社の数値です。同じ欄の従業員数は866人で、グループ全体の従業員6,788人とは異なります。賞与と基準外賃金を含みます。
同社は2024年9月に持株会社体制へ移行しています。組織が変わった前後の平均給与を比べても、同じ社員が同じ割合で昇給したとは言えません。会社全体の平均、コンサルティングを担う事業会社の平均、特定の職位の平均は、それぞれ別の情報です。
平均は一人ひとりの分布も示しません。たとえば、説明用の架空例として、500万円の社員4人と1,500万円の社員1人がいると、平均は700万円です。700万円を受け取る社員がいなくても成立します。自分に近い金額を考えるときは、平均より職種や職位の条件を優先します。
ベイカレントの給与を、持株会社化による対象の変化や新卒条件と合わせて確認したい場合は、個社の記事に整理しています。
新卒の年収は、430万円の年俸と600万円台の標準年収などの例がある
初任給は入社直後の条件を比べるのに役立ちます。ただし、月給を12倍した額、標準賞与を足した理論年収、実際に支払われた初年度の年収は一致するとは限りません。2026年10月31日時点の各社募集条件では、次のような違いがあります。
KPMGとPwCは、標準年収に賞与を含むかが異なる
KPMGコンサルティングの新卒コンサルタント職は、学士が6,251,147円、修士・博士が6,451,147円です。賞与の算定期間すべてに在籍した場合の理論標準業績賞与を含み、2025年10月度の支給実績を基に計算されています。月50時間相当の固定残業手当も含むため、金額全体が基本給ではありません。
PwCコンサルティングの募集要項は、学士6,390,840円、修士・博士6,616,560円です。こちらは業績賞与を含まない標準年収です。学士の月例給532,570円は基本給420,010円と月30時間分のみなし時間外勤務手当112,560円からなり、月30時間を超えた時間外労働の割増賃金は別途支給します。
したがって、約625万円と約639万円を横に並べて約14万円の待遇差と決めることはできません。KPMGは標準業績賞与込み、PwCは業績賞与を含まない数字です。さらに固定残業の対象時間も違うため、毎月の固定部分と変動部分を分けると比較しやすくなります。
PwCのこの条件は、戦略コンサルタント職のX-Value & Strategy、ビジネス、デジタル、ITソリューションの募集要項に示されています。Strategy&の戦略コンサルタント職は別の募集要項として案内されているため、同じ給与条件だと一括りにはできません。
船井総研と山田では、月給・理論年収・実績を分ける
船井総合研究所の経営コンサルタント職は、2027年入社の初任給が月35万円です。内訳は基本給25万5,000円と業務手当9万5,000円で、業務手当は45時間相当の固定残業代です。残業がなくても支給し、対象時間を超える分は別途支払うとしています。
同社の2027年入社の理論年収は430万円からで、月給12カ月分と標準賞与支給額の合計です。初年度には夏季賞与がなく、当年の成果による賞与の加算があります。月35万円を単純に12倍した420万円と430万円の違いは、賞与の扱いにあります。
山田コンサルティンググループの初任給は年俸制で、学部卒430万円、大学院卒450万円です。一方、採用ページにある新卒入社1年目の平均546万円は、2025年3月期の通知年俸を基準とした支給実績です。諸手当と特別賞与を含む総支給実績であり、入社する人全員に546万円を保証する募集額ではありません。
新卒の会社比較では、同じ学歴・職種の条件をそろえたうえで、固定部分と賞与を別々に確認します。学士と修士の金額や、将来入社者向けの条件と過去の社員実績を混ぜると、同じ年収という言葉でも比較の対象がずれます。
基本給・固定残業代・賞与に分けると給与の実態がわかる
年収600万円という提示でも、毎月50万円が確定している場合と、月給40万円に業績賞与の想定120万円を足している場合では、毎月の収入も変動への備えも違います。以下は制度を説明するための架空例です。

年収が同じでも、毎月の固定額と変動額は違う
架空のA社は月給50万円、賞与なしとします。B社は月給40万円、標準賞与120万円とします。両方の標準年収は600万円ですが、賞与が標準額より少ない年にはB社の年収も減ります。逆に業績連動で上乗せされる場合には、標準額を超えることがあります。
この違いは、金額が高いか低いかとは別の性質です。生活費や住宅費のような毎月の支出を考える人には固定額が重要になり、成果に応じた上振れを求める人には賞与の算定や評価との関係が重要になります。変動部分を含む年収を、すべて固定で受け取れる金額として家計に組み込むと、見積もりがずれます。
実際の募集条件でも、KPMGは理論標準業績賞与を含み、PwCは業績賞与を含まない形で年収を示しています。どちらも「標準」という言葉を使いますが、足し合わせている項目は違います。年俸制か月給制かという制度名だけでは、賞与の位置づけは決まりません。
固定残業時間は実際の残業時間ではない
固定残業代は、給与のうちあらかじめ一定時間分の時間外勤務に対応する部分です。募集要項の30時間、45時間、50時間という数字だけを使い、その会社では毎月必ずその時間だけ残業すると推定することはできません。実際の労働時間と、給与計算上の対象時間は別です。
たとえば、基本給30万円と固定残業代10万円を合わせた月給40万円は、基本給40万円という条件とは異なります。これは架空の給与構成です。賞与の算定が何を基準にするか、固定残業代がどの範囲に対応するかによって、同じ月給でも意味が変わります。
比較の際には、月給総額から固定残業代だけを引けば待遇の優劣が決まるわけでもありません。所定労働時間、超過分の支給、賞与、手当、退職給付まで含む条件と、実際の勤務時間を別々に捉える必要があります。額面年収は税金や社会保険料が差し引かれる前の金額なので、手取りとも区別します。
職位別では、マネージャーになる前後で責任が変わる
コンサルタントという言葉は、職業全体の呼び名にも、会社の中の特定の職位名にも使われます。職位別の年収を比べるには、名前だけでなく、本人が担当する範囲とチームへの責任を確認することが欠かせません。
山田コンサルティンググループの職位別実績
山田コンサルティンググループは、採用ページで次の役職別平均年収を公表しています。2025年3月期の通知年俸を基準とする総支給実績で、諸手当・特別賞与を含みます。非管理職は月20時間分の固定残業手当を含み、管理職はその対象外です。
| 同社の職位 | 平均年収 |
|---|---|
| アソシエイト | 約570万円 |
| コンサルタント | 約700万円 |
| シニアコンサルタント | 約870万円 |
| マネージャー | 約1,130万円 |
| シニアマネージャー | 約1,490万円 |
この表では、シニアコンサルタントとマネージャーの間に約260万円の差があります。ただし、同じ人が昇進した瞬間に必ず260万円上がるという意味ではありません。それぞれの職位に在籍する人の平均同士の差であり、経験や評価、手当の条件も含まれます。
また、役職別平均には将来の昇進確率や、その役職までの標準的な到達年数は示されていません。マネージャーの年収だけを見て、入社したすべての人が数年でその額に届くと計算することはできません。給与カーブを考える際は、到達した人の報酬と到達するまでの経路を分ける必要があります。
マネージャーの役割は、分析担当から案件全体の管理へ広がる
KPMGコンサルティングの職位紹介では、コンサルタントや新卒のビジネスアナリストは、担当領域の業務遂行と品質管理、顧客担当者とのコミュニケーションを担います。シニアコンサルタントは作業方針を考え、顧客への示唆や下位メンバーの育成も担います。
マネージャーやシニアマネージャーは、顧客との関係を含めたプロジェクト全体の現場統括、チーム運営と育成、新たな案件の提案に役割が広がります。より高い給与を考えるときには、自分の分析を完成させる力に加え、複数人の仕事をまとめ、顧客と期待値を合わせる力が問われるという理解が役立ちます。
ただし、KPMGの職務説明に山田の年収額を当てはめることはできません。ここで共通するのは、職位が変わると仕事の責任範囲も変わるという見方です。同じマネージャーという名称でも、会社ごとの給与制度や担当案件は別に評価する必要があります。
コンサルの仕事を、調査・分析から提案、実行支援まで具体的に知りたい場合は、仕事内容の記事で工程と役割を確認できます。
20代・30代の年収は、年齢より入社年次と職位を合わせて考える
新卒からの勤続年数と、転職してきた人の年齢は一致しません。30歳でも初めてコンサルの仕事に就く人と、複数案件を率いてきた人では期待される役割が異なります。年齢別の平均だけを自分の将来年収へ置き換えるより、経験の内容と職位に結びつける方が具体的です。
山田の新卒入社年次別実績は、年齢別の保証ではない
山田コンサルティンググループは、新卒入社からの年次別にも平均年収を示しています。同じ2025年3月期の通知年俸を基準とした総支給実績で、1年目546万円、3年目701万円、5年目780万円、7年目1,087万円、9年目1,435万円です。諸手当・特別賞与と、管理職を除く月20時間分の固定残業手当を含みます。
これは、ある一人を9年間追いかけた昇給記録ではありません。各入社年次の社員の平均を同じ時点で示したものです。入社時期ごとの構成や昇進状況が違うため、1年目から3年目の差をそのまま「2年間の標準昇給額」にすることはできません。
学部卒で22歳入社という架空の経路なら、7年目は20代後半に相当します。しかし大学院卒や既卒入社では年齢が変わり、中途入社者にはこの新卒年次別の表をそのまま使えません。年齢別の金額が必要な場合にも、どの経路の人を想定しているかをそろえることが大切です。
中途入社では、既存の経験をどの役割に移せるかが変わる
山田のキャリア採用は給与を応相談とし、経験、能力、前職給与などを考慮して選考で決定するとしています。新卒入社年次別平均を、中途入社の初年度提示額として扱うことはできません。過去の経験が、募集する職位の仕事へどうつながるかが別の論点になります。
たとえば事業会社で業務改革を担当した人なら、現場の業務把握や関係者調整の経験を、コンサルの担当領域へ結びつけられる場合があります。一方、社内で一度成功した取り組みを、異なる顧客に対して再現できるか、短い期間で論点を整理できるかは新たな課題です。これは職務を比較するための例であり、一定の職歴による給与上乗せを約束するものではありません。
若いうちの給与だけでなく、その先にどの仕事を担当できるようになるかも重要です。業界知識、技術、案件管理、提案といった経験が増えると、担当できる仕事の範囲が広がります。ただし、経験年数が増えるだけで自動的に同じ昇給が起こるという仕組みではありません。
戦略・総合・ITという分類だけでは年収は決まらない
コンサル会社は戦略、業務改革、IT、人事、事業再生など多様な仕事を扱います。分類は仕事を理解する入口ですが、同じ会社の中にも複数の専門領域があり、会社の種類だけで一人ひとりの給与を確定することはできません。
同じ会社でも募集職種や専門性が違う
PwCコンサルティングの新卒募集では、X-Value & Strategyの戦略、ビジネス、デジタル、ITソリューションが同じ募集要項に並んでいます。戦略という言葉が付く職種がすべて別給与になるわけではなく、ITという言葉が付く職種が必ず低いという関係も、この募集条件からは導けません。
KPMGコンサルティングのキャリアパスには、マネジメントの職位に加え、専門領域を深めて顧客開拓や案件を進めるスペシャリストの役割もあります。管理する人数だけが専門人材の価値を決めるわけではなく、特定の領域で何を判断し、どの難題を解決するかも仕事の違いになります。
職種をまたいで年収を比べるなら、同じ経験水準と役割か、専門知識をどこまで必要とするか、成果に対して何を引き受けるかまで合わせる必要があります。「戦略なら一律に何割高い」といった倍率より、具体的な募集条件や職位実績の方が、受け取る給与に近い情報です。
ITのスキル別データは、最小値から最大値の相場ではない
job tagのITコンサルタントのページには、2023年度の厚生労働省委託調査に基づく、企画立案・プロジェクト管理のスキルレベル別給与データもあります。ITSSレベル3は600万〜900万円、レベル4は650万〜950万円、レベル5以上は700万〜1,100万円です。
この金額は第一四分位から第三四分位の範囲です。年収を低い順に並べたときのおおむね下位25%と上位25%の間を示しており、最も低い人と最も高い人の金額ではありません。また、ITコンサルタントだけに限定した会社横断の給与テーブルでもありません。個別の資格を取得すれば、その範囲の給与を受け取れるという意味にもなりません。
同じデータでも、全国の職業統計の889万円と、このスキル別調査は調査年と対象が違います。単一の平均を示すデータと、能力水準に応じた分布を示すデータを混ぜず、役割や経験による違いの参考として使うことが適切です。
給与の背景には顧客への支援があるが、案件金額が個人年収になるわけではない
コンサル会社の事業を理解すると、なぜ調査担当、技術専門家、プロジェクト責任者がそれぞれ必要なのかがわかります。顧客は資料の作成だけでなく、課題の整理、実行する仕組み、関係者の育成などに対して支援を求めます。
明治安田の案件は、技術の実装と人材育成を組み合わせる
明治安田は2025年1月、アクセンチュアとの包括的パートナーシップ契約を発表しました。対象は生成AIなど先端デジタル技術の全社的な業務実装と人材育成で、デジタル秘書やAI基盤の開発などを挙げています。顧客側の発表でも、仕組みの開発と、その開発を通じて自社の人材を育てることを組み合わせています。
同社の2025年の開示では、4月にデジタルイノベーションHubを新設し、アクセンチュアの支援を受けて、先端技術の検討・開発と実践的人材育成に取り組んでいると説明しています。契約発表だけで終わる案件像ではなく、顧客組織の中で実装や育成を進める仕事です。
このような支援には、顧客の業務を理解して課題を定める役割、技術上の選択やリスクを判断する役割、進行を管理して顧客と合意する役割が必要になります。専門性と案件運営の両方を求める仕事の具体例ですが、この案件によって特定の職位の給与が何万円上がったと示すものではありません。
顧客への請求には、給与以外の費用と事業リスクも含まれる
説明用の架空例として、会社が顧客から月200万円を受け取り、担当者の月給が50万円だったとします。差額150万円がそのまま会社の利益になるわけではありません。上司や専門家の支援、採用・育成、営業、ツール、間接部門などの費用があり、案件のない期間にも費用が発生します。
アクセンチュアの2026年8月期の世界連結開示でも、サービス原価は主として顧客にサービスを提供する人材の報酬や給与関連費用からなる一方、外注、施設、技術、旅費などの費用も含むと説明しています。会社の原価を全額「社員の給与」とみなすことはできず、この世界全体の費用から日本の平均年収を計算することもできません。
反対に、顧客への請求単価が高いからといって、その担当者の給与が同じ割合で高くなるとは限りません。契約で約束する成果、チームの組み方、会社の給与制度は別々の仕組みです。売上を従業員数で割った「一人当たり売上」も、本人の年収や人件費ではありません。
事業会社でコンサルと協働する立場なら、担当者の年収を推測するより、誰が判断に責任を持つか、どこまで専門家が参加するか、顧客側に知識や仕組みが残るかを確認する方が、支援内容を評価しやすくなります。給与の高さと、個々の案件で得られる成果を直結させないことが大切です。
年収を比べるときは、固定額・変動額・役割の三つをそろえる
新卒の年俸430万円、標準年収600万円台、マネージャー平均1,000万円超といった数字は、対象と条件をそろえると意味が明確になります。入社時の条件、現在の職位の実績、将来任される仕事は、それぞれ別に考える必要があります。
比較する際は、まず同じ職種・学歴・入社時期の毎月の固定額を置き、賞与や手当を分けます。次に、その年収で求められる仕事を、担当領域の分析なのか、案件全体の運営なのか、顧客開拓まで含むのかで捉えます。最後に、将来の職位と、そこへ至る経験を確かめます。
コンサルの年収を理解する目的は、大きな数字の会社を並べることだけではありません。給与の構成と仕事の責任を結びつけることで、自分の経験をどう生かせるか、顧客にどの価値を提供する仕事なのかまで具体的に考えられます。
